営業の引き継ぎのやり方。顧客・案件を失わずに後任へ渡すポイント
営業担当者が替わるとき、いちばん避けたいのは、顧客が離れることです。営業の仕事は、手順より、顧客との関係や経緯に価値があります。担当の方の頭の中にだけあるそうした情報を、どれだけ後任の方に渡せるかが、引き継ぎの出来を左右します。
この記事では、営業の引き継ぎのやり方を、顧客ごとのカルテ、進行中の案件、取引先への挨拶、営業事務との分担の順に紹介します。
営業の引き継ぎで渡すもの
| 渡すもの | 中身 |
|---|---|
| 顧客の一覧 | 取引の大きさ、取引の内容、担当の方、決裁者 |
| 顧客ごとのカルテ | これまでの経緯、好み・気をつけること、過去のトラブルと対応 |
| 進行中の案件 | 状況、次にやること、期限、見込み |
| 条件・ルール | 単価、値引き、支払い条件、契約の更新時期 |
| 社内の関係者 | 営業事務、技術・製造の担当、上司の承認の流れ |
このうち、顧客ごとのカルテがいちばん抜けやすい部分です。CRMや顧客管理の表に、取引の数字は残っていても、「この顧客はこういう経緯で取引が始まった」「この担当者は電話よりメールを好む」といった情報は残っていないことがほとんどです。
1. 顧客に優先順位を付ける
全部の顧客を同じように引き継ぐ時間は、たいていありません。まず顧客に優先順位を付けます。
| 優先 | 顧客 | 引き継ぎ方 |
|---|---|---|
| A | 売上の大きい顧客、取引が動いている顧客 | 前任の方と後任の方が一緒に訪問・面談し、直接紹介する |
| B | 定期的に取引がある顧客 | 前任の方からの挨拶のメールと電話。後任の方が改めて挨拶する |
| C | 取引が少ない・止まっている顧客 | 挨拶のメールで担当の交代を知らせる |
Aの顧客は、最終出社日の前に、前任の方と一緒に会う時間を必ずとります。担当の交代を対面で伝えると、顧客の不安が小さくなります。
2. 顧客ごとのカルテを作る
優先度の高い顧客から、1社ずつカルテを作ります。
| 項目 | 書き方の例 |
|---|---|
| 取引のきっかけ | 展示会で名刺交換したのが始まり。3年前から定期取引 |
| 先方の関係者 | 購買の田中様(窓口)、部長の佐藤様(決裁)。田中様はメールを好む |
| 取引の条件 | 年間単価で契約。値引きは3%まで。月末締め翌月末払い |
| 過去のトラブル | 2年前に納期遅れがあり、それ以来、納期は余裕をもって回答している |
| 今後の見込み | 来春に設備の更新の予定がある。夏ごろに提案の準備を始める |
「過去のトラブル」と「今後の見込み」は、前任の方にしか書けない部分です。後任の方が知らずに同じことを繰り返したり、商談の機会を逃したりしないよう、必ず書いてもらいます。
3. 進行中の案件を整理する
見積を出している案件、返事を待っている案件、納品が決まっている案件を一覧にし、次に誰が何をするかを書きます。
| 案件 | 状況 | 次にやること | 期限 |
|---|---|---|---|
| A社 設備の更新 | 見積を提出済み。返事待ち | 11月15日に返事がなければ電話 | 11月末 |
| B社 年間単価の改定 | 新単価を提示済み | 先方の社内決裁を待つ | 12月 |
返事待ちの案件は、担当が替わったときに放置されやすい案件です。いつ、誰が、どう確認するかまで決めておきます。
4. 取引先に担当の交代を伝える
取引先への連絡は、上司と相談して、伝えてよい時期を決めてから送ります。社内での発表より先に取引先に伝わらないよう、順番に気をつけます。挨拶のメールの例文は、引き継ぎメールの例文にまとめています。
5. 営業事務との分担を確かめる
営業担当が替わると、受注や見積を支えている営業事務の方の仕事にも影響します。どの顧客の見積を誰が作るか、急ぎの注文を誰が判断するかなど、営業と営業事務の分担を引き継ぎ書に書いておきます。営業事務の側の引き継ぎは、営業事務の引き継ぎ書テンプレートを使ってください。
後任がすぐに決まらないとき
営業担当の後任がすぐに決まらない場合、上司や別の営業担当が一時的に顧客を持つことが多いです。その場合も、顧客の窓口を誰にするかをはっきり決め、顧客に伝えます。窓口があいまいなままだと、顧客からの連絡が宙に浮きます。
窓口は社内の方が持ち、見積や資料の作成、受注の入力などの裏側の作業を外に任せる方法もあります。業務の引き継ぎ全体の流れは、業務の引き継ぎガイドをご覧ください。
引継ぎ代行プラスでできること
引継ぎ代行プラスは、営業担当や営業事務の方からオンラインで業務を引き継ぎ、顧客ごとのカルテ、業務一覧と判断の表、マニュアル、引継ぎAIにまとめます。顧客との関係そのものが仕事になっている業務では、顧客の窓口は社内の方に持っていただき、私たちは見積書や資料の作成、進行管理などの裏側の作業を担当します。相談と簡易診断は無料です(お問い合わせ)。