AIで引き継ぎ書を作る方法|ChatGPT・Claude・Geminiにそのまま使えるプロンプト例つき
引き継ぎ書を書く時間がないとき、生成AIを使うと下書きまでの時間を大きく短くできます。ChatGPT、Claude、Geminiなど、どのAIでも同じやり方で使えます。
ただし、「引き継ぎ書を作って」と頼むだけでは、どの会社にも当てはまる一般的な表しか出てきません。AIは、あなたの会社の業務を知らないからです。この記事では、AIに材料を渡し、足りないことをAIに質問させて、使える引き継ぎ書にするまでの手順を、コピーして使えるプロンプト例つきで紹介します。
AIで引き継ぎ書を作る5つの手順
| 手順 | すること | かかる時間の目安 |
|---|---|---|
| 1. 材料を集める | 業務のメモ、カレンダー、メール、録画の文字起こしなど | 30分〜1時間 |
| 2. 業務の一覧を作らせる | 材料をAIに渡し、業務の棚卸しの表にしてもらう | 10分 |
| 3. AIに聞き取りをさせる | AIに質問させて、判断の基準や例外を引き出す | 業務1つにつき5〜10分 |
| 4. 引き継ぎ書の形に整える | テンプレートの項目に合わせて清書してもらう | 10分 |
| 5. 人が確かめる | 前任の方と上司が読み、間違いと抜けを直す | 1〜2時間 |
いちばん大事なのは3つ目の「AIに聞き取りをさせる」です。引き継ぎ書でいちばん役に立つのは判断の基準ですが、判断の基準は前任の方の頭の中にしかありません。AIに書かせるのではなく、AIに質問させて、前任の方が答える形にすると引き出せます。
手順1. 材料を集める
AIは、渡された材料の範囲でしか書けません。次のような材料を集めます。全部そろわなくても構いません。
| 材料 | 何がわかるか |
|---|---|
| 自分で書いた業務のメモ・ToDoリスト | 日々の業務 |
| カレンダー(過去1年分) | 月に1回・年に1回の業務、定例の会議 |
| 送ったメールの件名 | やり取りしている相手、定期的な報告 |
| 共有フォルダのフォルダ名 | 業務ごとの資料の場所 |
| 画面操作の録画・会議の文字起こし | 手順と、口で説明したコツ |
| 前任の方から受けた引き継ぎ書 | 業務の全体像(古くても役に立つ) |
材料を集めるときは、取引先の名前や個人名、金額など、社外に出してはいけない情報が入っていないか確かめます。くわしくは、この記事の後半の社外秘の情報の扱いをご覧ください。
手順2. 業務の一覧を作らせる
集めた材料をAIに貼り付けて、業務の一覧にしてもらいます。
あなたは業務の引き継ぎを手伝うアシスタントです。
私は【経理事務】の担当で、【11月末】に退職します。
下に、私の業務のメモ、カレンダーの予定、送ったメールの件名を貼ります。
これをもとに、私が担当している業務の一覧を表にしてください。
表の列:業務名/頻度(毎日・毎週・毎月・年1回・不定期)/期日・時期/使うシステムや資料/関係する人・取引先
条件:
・材料に書かれていないことは推測で書かず、「?」にしてください
・同じ業務がちがう名前で出てくる場合は、1つにまとめてください
・年に1回の業務は、見落としやすいので必ず別に並べてください
・最後に、一覧から抜けていそうな業務を、経理事務でよくある業務から挙げて質問してください
【ここに材料を貼る】
「推測で書かず『?』にして」と書いておくのがコツです。こう書かないと、AIはもっともらしい内容で空欄を埋めてしまいます。最後の質問で、自分では気づいていなかった業務が見つかることもあります。
業務の一覧の作り方は、業務の棚卸しシートでも紹介しています。
手順3. AIに聞き取りをさせる
業務の一覧ができたら、業務ごとにAIに質問してもらいます。前任の方が答え、AIがまとめます。
これから、下の業務について、後任の人が一人でできるように聞き取りをしてください。
業務:【請求書の発行】
聞き取りのしかた:
・質問は1回に1つずつにしてください
・手順よりも、判断が必要な場面を中心に聞いてください
(例:いつもとちがうことが起きたら、どうするか/誰に確認するか)
・例外、過去のトラブル、気をつけることも聞いてください
・私が「わからない」「場合による」と答えたら、具体的な例を挙げて聞き直してください
・10問くらい聞いたら、聞き取った内容を次の形でまとめてください
手順/判断の基準(こういうときはこうする)/例外とトラブル/関係者/資料の場所
「場合による」をそのままにしないのがポイントです。AIに「たとえば、どんな場合ですか」と聞き直してもらうと、「金額が10万円を超えるとき」「取引先が新規のとき」のように、後任の方が使える基準になります。
文字で答えるのが面倒なときは、音声入力を使ったり、AIの音声での会話の機能を使ったりすると、話すだけで進められます。
手順4. 引き継ぎ書の形に整える
聞き取った内容を、引き継ぎ書のテンプレートの項目に合わせて整えてもらいます。
ここまでの聞き取りの内容を、引き継ぎ書の形に整えてください。
項目:
1. 業務の概要(何のための業務か、1〜2行で)
2. 頻度・期日
3. 手順(番号付き。1つの手順は1行で)
4. 判断の基準(「〇〇のときは△△する。迷ったら□□さんに確認」の形)
5. 例外・過去のトラブルと対応
6. 関係者と連絡のしかた
7. 資料・システムの場所
条件:
・聞き取りで出てこなかったことは書かず、「【要確認】」と書いてください
・専門用語や社内の略語には、かっこで短い説明を付けてください
・後任の人は、この業務を一度もやったことがない前提で書いてください
できた文章は、引き継ぎ書テンプレート(Excel・Word)や引き継ぎマニュアルのテンプレート(Word)に貼り付けます。業務が少ないときは、1枚で書けるシンプル版でも十分です。
手順5. 人が確かめる
AIの下書きは、そのまま後任の方に渡さず、必ず人が確かめます。AIは次のような間違いをすることがあります。
| AIがしやすい間違い | 確かめ方 |
|---|---|
| 話していないことを書き足す | 「【要確認】」以外の部分も、自分が言ったことかを読み比べる |
| 手順の順番を入れ替える | 下書きを見ながら、実際に一度操作してみる |
| 数字・日付・金額を書き間違える | 締め日、期日、金額は元の資料と照らし合わせる |
| 一般的な書き方に寄せる | 「会社の規定に従う」のようなあいまいな文は、具体的に書き直す |
| 社内の言葉を別の言葉に言い換える | 社内で使っている呼び方に戻す(後任の方が検索できるように) |
前任の方が読んだあと、上司にも読んでもらいます。前任の方には当たり前すぎて抜けていることに、上司が気づくことがあります。最後に、後任の方に引き継ぎ書を見ながら実際にやってもらい、つまずいたところを書き足せば完成です。
AIに任せてよいこと・人がすること
| AIに任せてよいこと | 人がすること |
|---|---|
| メモや文字起こしを、表や手順の形に整える | 材料を集める、社外秘の情報を外す |
| 抜けていそうな業務や、聞くべきことを挙げる | 質問に答える(判断の基準は前任の方にしか答えられない) |
| 文章を読みやすく直す、用語に説明を付ける | 内容が正しいかを確かめる |
| テンプレートの項目に合わせて清書する | 引き継ぎ書を後任の方に渡し、一緒に確かめる |
AIが得意なのは、形を整えることと、質問を考えることです。何が正しいかを決めるのは、前任の方と会社の方です。
社外秘の情報の扱い
AIに入れる前に、次のことを確かめます。
- 会社のルールを確かめる 生成AIの利用について、会社で決まりがあるかを先に確かめます。使ってよいAIサービスが決まっている会社もあります。
- サービスの設定を確かめる AIサービスによっては、入力した内容がAIの学習に使われる設定になっていることがあります。法人向けのプランや設定で、学習に使わないようにできるかを確かめます。
- 固有名詞を置き換える 取引先の名前は「A社」「B社」、個人名は「担当者X」のように置き換えてからAIに渡し、清書したあとで元に戻す方法もあります。
- 入れないもの パスワード、口座番号、マイナンバー、従業員の給与や健康の情報などの個人情報は、置き換えたとしても入れません。引き継ぎ書には、パスワードそのものではなく保管場所だけを書きます。
AIで作った引き継ぎ書を、さらに使いやすくするには
引き継ぎ書ができたら、それをAIに読み込ませておくと、後任の方が「〇〇のときはどうする?」と聞いて答えを得られるようになります。作り方は社内ナレッジAIの作り方で紹介しています。手順書は、画面操作の録画があると後任の方が真似しやすくなります。録画からマニュアルを作る方法は動画からマニュアルをAIで作る方法をご覧ください。
この記事のプロンプトは、引き継ぎ書を作るAIプロンプト集にまとめてあります。業務の種類別のプロンプトも載せています。
引き継ぎにAIを使う方法の全体像は引き継ぎにAIを使う方法、引き継ぎ書に何を書くかは引き継ぎ書の書き方にまとめています。
よくあるご質問
ChatGPT、Claude、Geminiのどれを使えばいいですか?
この記事のプロンプトは、どのAIでも使えます。会社で使ってよいと決まっているAIがあれば、それを使ってください。長い文字起こしやファイルを一度に読み込ませたい場合は、扱える文字数やファイルの種類がサービスやプランで異なるので、使うサービスの案内で確かめてください。
無料のAIでも作れますか?
作れます。ただ、無料のプランでは入力した内容が学習に使われる設定になっていることがあるので、社外秘の情報を入れる前に設定を確かめてください。迷う場合は、取引先の名前や金額を置き換えてから使います。
時間がなくて、聞き取りに答える余裕もありません。
最終出社日まで時間がない場合は、業務の一覧(手順2)と、優先度の高い業務だけ聞き取り(手順3)をします。残りの業務は、上司が後任の方と一緒に、前年の資料を見ながら確かめる形にします。進め方は引き継ぎが間に合わないときにまとめています。
AIを使っても書ききれないときは?
引継ぎ代行プラスでは、退職・休業する方から私たちがオンラインで業務を聞き取り、引き継ぎ書・マニュアル・引継ぎAIにまとめます。後任の方が決まるまでの業務の代行もできます。くわしくは引き継ぎマニュアルの作成代行をご覧ください。