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引継ぎの進め方

退職日までに引き継ぎが間に合わない。残り2週間でやる順番

退職日まで、残りは2週間。業務の一覧もまだできていない。急な退職で、そんな状況になることがあります。

2週間ですべてを引き継ぐことはできません。それでも、順番を決めて、止まると困る業務から残していけば、退職日のあとに困る場面はかなり減らせます。この記事では、残り10営業日で進める引き継ぎの順番を、日ごとに紹介します。

この記事は、退職する方と会社の関係が良好な場合を前提にしています。退職の手続きや条件のことは扱いません。

全部を同じ深さで残そうとしない

退職する方も、最終日までふだんの業務を抱えています。引き継ぎに使えるのが1日2時間なら、10営業日で20時間ほどです。最終出社日が退職日より前になる場合は、最終出社日までの日数で数えます。

この時間で、すべての業務の手順書をつくるのは無理があります。そこで、業務を重要な順に並べ、上の業務ほど深く、下の業務ほど浅く残します。深く残すとは、画面の録画と判断のルールまで残すこと。浅く残すとは、業務の名前と、どこに何があるかだけを残すことです。

引き継ぎの時間は、上長の方が先に予定表に入れてしまいます。退職する方が出ている会議を減らす、新しい仕事は頼まない、急ぎでない社内の依頼は別の方に回す。こうして通常の業務を減らすと、引き継ぎに使える時間が増えます。

1. 最初の日に、止まると困る業務を選ぶ

1日目は、業務の書き出しと仕分けだけに使います。退職する方の記憶だけに頼らず、カレンダーの予定、送信済みメール、定期的に届くメールを一緒に見ながら書き出すと、抜けが減ります。

書き出した業務は、次の3つに分けます。

区分 目安 例
止まると困る お金と期限が関わる。取引先やお客様に影響が出る 支払・請求・入金の確認、給与、税金や保険料の納付、受注・出荷の手配
遅れても立て直せる 社内で完結する。月1回以下 社内向けの集計、資料の更新
やめられる・減らせる 使われているかわからない 誰が見ているかわからない報告書

お金と期限の業務は、期限が法令や取引先との約束で決まっていて、遅れると取り返しがつきにくいものです。たとえば、給与から差し引いた源泉所得税は、原則として給与を支払った月の翌月10日まで(国税庁 No.2505)、住民税の特別徴収分も翌月10日まで(東京都主税局)、健康保険・厚生年金保険の保険料は翌月末日まで(日本年金機構)に納めます。こうした期限のある業務は、退職日から2か月先まで、日付を入れて書き出しておきます。

1日目には、業務を受け取る方も決めます。後任の方が決まっていなくても、社内の方か外部か、仮の受け手を決めておかないと、録画や質問の場に同席する方がいなくなります。

2. 10営業日の順番

10営業日は、次の順番で進めます。

日 やること 残るもの
1日目 業務を書き出し、3つに分ける。受け取る方を決める 業務一覧
2日目 退職日から2か月先までの期限を書き出す 期限のカレンダー
3〜5日目 止まると困る業務を、画面を操作しながら録画する 動画
6日目 例外や迷ったときの対応を聞き取る 判断表
7日目 取引先・社内の連絡先と、進行中の案件を整理する 連絡先の一覧、案件の一覧
8日目 アカウントと権限を洗い出し、付け替えを始める 権限の一覧
9日目 受け取る方が操作し、退職する方が横で確かめる わからないことの一覧
10日目 積み残しを一覧にし、最終日のあとの質問のしかたを決める 積み残しの一覧、取り決め

2日目の期限のカレンダーは、たとえば次のような形です。月ごとに、日付と業務、期限を決めているもの、受け取る方を並べます。

日付 業務 期限を決めているもの 受け取る方
毎月10日 源泉所得税・住民税の納付 税法・市区町村の案内 総務の〇〇さん
毎月20日 A社への請求書の送付 A社との取り決め 営業事務の〇〇さん
毎月25日 給与の振込 賃金規程 総務の〇〇さん
毎月末日 仕入先への支払 仕入先との取り決め 上長
毎月末日 前月分の社会保険料の納付 日本年金機構の案内 総務の〇〇さん
12月 年末調整 税法 未定(外部も検討)

「未定」の行が残ったら、それが最初に手当てが要る業務です。

順番の考え方は、なくなると取り戻せないものから先にです。手順は、画面やデータが残っていれば、あとからでもある程度たどれます。一方で、判断のルールや、取引先ごとの事情は、退職する方がいなくなると誰にもわからなくなります。

3. 画面の録画で残すコツ

時間がないときほど、手順書を書くより録画を優先します。退職する方に、実際の画面を操作しながら説明してもらい、その様子を録画します。録画は、オンライン会議の録画機能で十分です。受け取る方が同席できない日も、録画しておけばあとから見られます。

  • 1本は3〜5分に区切る:「請求書の発行」「入金の確認」のように、業務ごとに分けます
  • タイトルは「業務名+場面」にする:「請求書の発行|月末にまとめて出すとき」のようにすると、あとから探しやすくなります
  • いつもの作業を、いつもどおりにやってもらう:「ここは取引先ごとに違う」「この欄は空欄でいい」といった一言が、あとで役に立ちます
  • 保存場所を決めておく:画面に取引先や社員の情報が映るので、見られる方を限った場所に保存します

手順書は、退職日のあとに動画から起こせば間に合います。詳しいつくり方は動画とAIで残す方法で紹介しています。

4. 判断のルールを1枚にまとめる

6日目は、手順ではなく判断を聞き取ります。次のような質問を投げると、ふだん意識していない判断が出てきます。

  • いつもと違う依頼が来たとき、誰に確認していたか
  • 期限に間に合わないとき、誰に、何を連絡していたか
  • 金額や数量がいつもと違うとき、どこまでなら自分の判断で進めていたか

答えは、場面ごとに1行ずつ表にします。

場面 いつもの対応 確認する相手
取引先から支払日を延ばしたいと相談された その場では決めず、上長に確認してから回答 部長
請求書の金額が見積もりと違う 営業担当に理由を確認してから発行 営業担当

5. 連絡先、進行中の案件、権限を残す

7日目は、人とのつながりを残します。

  • 取引先ごとの窓口:担当の方の名前、連絡の方法、締め日や書類の形式などの決まりごと
  • 進行中の案件:いまどこまで進んでいて、次に何をするか、期限はいつか
  • 担当が変わることの連絡:社外への連絡は、在籍中に退職する方と一緒に出すと、相手にも伝わりやすくなります

8日目は、アカウントと権限です。退職する方のメールアドレスに届く連絡をどこで受けるか、業務で使っているサービスの管理者を誰に付け替えるかを一覧にします。パスワードを紙やチャットで受け渡すのではなく、会社の管理者の方が権限を付け替える形にします。

6. 9日目は、受け取る方が実際に操作する

9日目は、止まると困る業務のうち2〜3つを選び、受け取る方が録画を見ながら実際に操作します。退職する方は横で見て、違うところがあればその場で伝えます。

  • 本番のデータを使う場合は、確定や送信の手前で止めます
  • 手が止まったところ、動画と違ったところは、その場で「わからないことの一覧」に書きます
  • 一覧のうち、退職する方にしか答えられないものは、その日のうちに聞きます

録画を見るだけではわからなかったことが、ここで出てきます。9日目を削ると、退職日のあとに同じ疑問がまとめて出てくることになります。

7. 最終日のあとのことを、退職する方と会社で決めておく

10日目は、積み残しの一覧をつくり、最終日のあとのことを決めます。退職後に質問をするのは、退職する方と会社の両方が了承した場合だけにします。了承が得られた場合は、次のことを決めておきます。

決めること 例
期間 退職後1か月まで
方法 メールで、週に1回まとめて送る
会社側の窓口 質問をまとめて送る方を1人に決める
聞かないこと 急ぎの対応や、新しい作業のお願いはしない

質問は、積み残しの一覧に沿ってまとめて送ると、退職する方の負担が少なく済みます。了承が得られない場合でも、積み残しの一覧があれば、社内でどこから調べればよいかがわかります。

最終出社日には、ここまでに残したものが、社内の方が開ける場所にそろっているかを確かめます。

残したもの 確かめること
業務一覧・期限のカレンダー 共有の場所にあり、受け取る方が開ける
動画・判断表 業務名で探せる。見られる方が限られている
連絡先・案件の一覧 社外への担当変更の連絡が済んでいる
権限の一覧 付け替えが済んだものと、残っているものが分かれている
積み残しの一覧 誰が引き受けるかが書いてある

8. 間に合わなかった業務を、誰に渡すか

積み残した業務は、社内の方が仮で担当するか、外部に任せるかを決めます。

社内の方に任せる場合は、担当してもらう期間と、判断は上長が持つことを先に決めておきます。自分の仕事に他の方の仕事が上乗せされる状態が長く続くと、その方の負担が大きくなるためです。

外部に任せる場合は、退職日の前に、外部の受け手が退職する方から直接引き継ぎを受けられるかが大きな差になります。退職後は、前任の方に気軽に聞けなくなるからです。任せる範囲は、1日目の業務一覧をもとに決めます。郵便の受け取りや来客、現金の扱いなど、その場にいないとできない作業は、社内に残す前提で仕分けておきます。

後任が決まらないときに先にやっておくことは、後任が決まらないまま退職日が来るときでも紹介しています。給与計算の担当の方が退職する場合は、給与を止めないために先に確認することもあわせてご覧ください。後任が見つかるまでの回し方の比べ方は、5つの選択肢と費用の比べ方にまとめています。

引継ぎ代行プラスでできること

引継ぎ代行プラスは、退職する方からオンラインで業務を引き継ぎ、マニュアル・動画マニュアル・引継ぎAI(質問に答えるAI)にまとめます。料金は月給の50%(1回)です。後任の方が決まるまでの業務はリモートで代行し(月給の60〜80%/月、最低2か月)、派遣ではなく業務委託として、指示は窓口の方から受けます。現地の作業(郵便・来客・現金)、支払いの実行、契約や価格の判断は引き受けません。対応している業務はサービスの一覧、派遣や外注とのちがいは比較のページをご覧ください。ご相談と簡易診断は無料です。

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