退職者の引継ぎ先になる、リモートの業務代行サービス無料:退職が決まったら最初の2週間でやること(チェックリスト)

資料ダウンロード 無料で相談する

引き継ぎのやり方

引き継ぎ書の書き方と項目。業務引継ぎ書の作り方と例文(テンプレート付き)

退職や異動、産休・育休が決まると、担当していた業務を引き継ぎ書にまとめることになります。ところが、書き方が決まっている会社は多くありません。前任の方が自己流で書いたものが、そのまま後任の方に渡されることがほとんどです。

この記事では、引き継ぎ書(業務引継ぎ書、引継書とも呼びます)の書き方を、入れる項目、作る順番、例文の順に紹介します。書き方の例として使っている引き継ぎ書は、無料のテンプレート(Excel・Word)として、登録なしでダウンロードできます。

引き継ぎ書とは

引き継ぎ書は、担当していた業務の内容、やり方、判断の基準、関係者をまとめ、後任の方に渡す文書です。後任の方が、前任の方に聞かなくても業務を回せる状態にすることが目的です。

似た言葉に「引き継ぎ資料」があります。引き継ぎ書が業務の一覧と判断をまとめた1つの文書なのに対して、引き継ぎ資料は、引き継ぎ書に手順書(マニュアル)や画面操作の録画、取引先の一覧などを加えた一式を指すことが多いです。資料一式をどこまで用意するかは、引き継ぎ資料の作り方で書いています。

引き継ぎ書に入れる6つの項目

引き継ぎ書に入れる項目は、次の6つです。手順だけを書いた引き継ぎ書は、後任の方が最初の1か月で困る部分が抜けがちです。

項目 書くこと
1. 基本情報 業務・担当の名前、前任の方、後任の方、上司・相談先、引き継ぎの期間、最終出社日
2. 業務一覧 業務名、目的、頻度・タイミング、期日、使うツールとファイルの場所、手順書の有無
3. 判断の基準 「こういうときはこうする」という決まり、例外の扱い、誰に確認するか
4. 年間カレンダー 年1回・月1回の業務と、その月
5. 関係者・アカウント やりとりする相手と注意点、使っているシステムのIDとパスワードの保管場所
6. 進行中の案件 やりかけのこと、今の状態、次に誰が何をするか

この中で抜けやすいのは、3の判断の基準と、4の年間カレンダーです。毎日の業務は手順書に書けても、判断は前任の方の頭の中にしかないことが多く、年に1回の業務は前任の方自身も忘れていることがあります。

項目ごとの書き方と例

6つの項目を、どう書けば後任の方に伝わるかを、例と一緒に紹介します。

1. 基本情報

誰から誰へ、いつまでに引き継ぐかを書きます。後任の方が決まっていなければ「未定」と書き、決まるまで業務を持つ方を書いておきます。

項目 例
業務・担当の名前 営業事務(受発注・見積)
前任の方 山田 花子(2026年11月30日 退職)
後任の方 未定(決まるまでは佐藤課長と外部の代行)
上司・相談先 佐藤 一郎(営業課長)
引き継ぎの期間 2026年11月4日〜11月20日

2. 業務一覧

業務は「受注の入力」「見積書の作成」のように、動詞まで書ける大きさに分けます。「営業事務」のように大きくまとめると、中にどんな作業があるかが伝わりません。業務ごとに、目的を1行で書きます。目的がわかると、後任の方が手順にない場面でも判断しやすくなります。

業務名 目的 頻度・期日 使うもの
受注の入力 注文を販売管理に登録し、当日中に出荷できるようにする 毎日、15時まで 販売管理、共有フォルダ「受注」
見積書の作成 営業担当の依頼を受けて、取引先に見積を出す 週3〜5件、依頼から2営業日以内 見積テンプレート、単価表

3. 判断の基準

「こういうときはこうする」を、数字と条件まで書きます。書き方は、このあとの「判断の基準の書き方と例文」でくわしく紹介します。

4. 年間カレンダー

年に1回・月に1回の業務を、月ごとに書きます。退職のあとに初めて来る業務が、いちばん抜けやすい部分です。

月 業務 メモ
4月 取引先への単価改定の案内 前年の案内文は共有フォルダ「お知らせ」
12月 年末年始の休業と出荷の案内 最終出荷日を先に決める

5. 関係者・アカウント

やりとりする相手と、気をつけることを書きます。システムは、IDの持ち主と、パスワードの保管場所を書きます(パスワードそのものは書きません)。

相手 連絡のしかた 気をつけること
株式会社サンプル商事 購買部 田中様 メール(FAXは使わない) 締めは毎月25日。遅れるときは前日までに電話

6. 進行中の案件

やりかけのことは、今の状態と、次に誰が何をするかまで書きます。返事待ちの案件は、担当が替わったときに放置されやすい案件です。

案件 今の状態 次にやること 期限
サンプル商事の年間単価の改定 新単価を提示済み。返事待ち 11月15日に返事がなければ課長から電話 11月末

引き継ぎ書の作り方。書く順番

引き継ぎ書は、上から順に書くより、次の順番で作ると漏れが減ります。

1. 業務をすべて書き出す

最初に、担当している業務を細かく書き出します。思い出しながら書くと、ふだん意識していない業務が抜けます。次のものを見ながら書くと、漏れが減ります。

  • 3か月分のカレンダー(定例の会議、締め日)
  • 送信済みのメール(誰と、どんなやりとりをしているか)
  • 共有フォルダの更新履歴(どのファイルを、どのくらいの頻度で触っているか)
  • 使っているシステムの一覧

業務の数が多い場合は、先に業務の棚卸しをしておくと、引き継ぎ書を書く手間が減ります。棚卸しシートは無料の3点セットに入っています。

2. 業務ごとに、目的と期日を書く

業務名だけでなく、何のためにやっている業務かを1行で書きます。目的がわかると、後任の方が状況に応じて判断できます。期日は「月末」ではなく「毎月25日(土日なら前の金曜)」のように、具体的に書きます。

3. 判断の基準を書く

引き継ぎ書でいちばん大事な部分です。手順書に書きにくい「こういうときはこうする」を、業務ごとに書きます。前任の方にしか書けない部分なので、最終出社日の1週間前までに終わらせます。

4. 年間カレンダー、関係者、アカウントを埋める

決算、棚卸し、年末の案内、契約の更新など、年に1回の業務を月ごとに書きます。昨年のカレンダーやメールを見返しながら書くと、思い出しやすくなります。

5. 後任の方と1つずつ確認する

書き終えたら、後任の方と一緒に業務を1つずつ確認し、わからないところを書き足します。実際に後任の方に業務をやってもらい、前任の方が横で見る時間をとれると、引き継ぎ書に書けていない部分が見つかります。

判断の基準の書き方と例文

判断の基準は、次の3つをそろえて書くと、後任の方が迷いません。

  1. どういうときに 判断が必要になる場面
  2. どうするか 前任の方がしていたこと(数字があれば数字で)
  3. 超えたら誰に 基準を超えたときや、迷ったときに確認する相手

「状況に応じて対応」「臨機応変に」と書くと、後任の方はその状況を判断できません。判断の材料になる数字や条件まで書きます。

書き方の例

書き方 例
伝わりにくい 値引きの相談は、状況に応じて対応する
伝わりやすい 値引きの相談が来たら、年間100万円以上の取引先は3%まで受けてよい。それを超えるとき、または年間100万円未満の取引先のときは、課長に確認する

職種ごとの例文を紹介します。

例文:営業事務・受発注

  • 単価が登録と違う注文が届いたら、入力せずに営業担当に確認する
  • 急ぎの注文は15時以降も受けてよい。受けたら課長に一言伝える
  • 同じ注文がFAXとメールで二重に届くことがある。注文番号で重複を確かめてから入力する

例文:経理

  • 請求書の金額が発注書と違うときは、支払いの登録をせずに、発注した部署に確認する
  • 10万円以上の備品の購入は、固定資産として登録するか顧問の税理士に確認する
  • 振込先の変更の連絡がメールで来たら、登録してある電話番号に電話して確認してから変更する

例文:総務

  • 備品の購入は1回3万円までなら総務の判断で発注してよい。それ以上は部長の承認をとる
  • 社外からの問い合わせで、担当がわからないものは総務で受け、翌営業日までに担当を決めて返事をする

経理や給与計算の判断は、税金や社会保険の扱いに関わることがあります。個別の判断が要るものは、引き継ぎ書に「顧問の税理士・社労士に確認する」と書いておきます。

退職・異動・休業での書き分け

引き継ぎ書の項目は同じでも、場面によって重点が変わります。

場面 重点を置くこと くわしいページ
退職 判断の基準と関係者。最終出社日のあとは前任の方に聞けない 業務の引き継ぎガイド
異動 「あとで聞ける」と思って薄くしない。異動後の質問の受け方を決めておく 異動の引き継ぎ
産休・育休・休職 休業中の変化を書き足す欄を作り、復帰のときに引き継ぎ直す 産休・育休の引き継ぎ

職種別のテンプレート

職種によって、よくある業務や年に1回の手続きがちがいます。職種別のテンプレートには、よくある業務と、書くときに確かめることを先に入れています。

テンプレート 入っているもの
引き継ぎ書(共通、Excel・Word) 6つの項目と、営業事務の記入例
経理の引き継ぎ書 請求・入金・支払い・記帳などと、源泉所得税・年末調整などの年間スケジュール
総務の引き継ぎ書 備品・契約書・問い合わせ・入退社などと、年間スケジュール
営業事務の引き継ぎ書 受発注・見積・納期回答などと、取引先ごとのルール
引き継ぎ計画書・チェックリスト 申し出から最終出社日までの段取り

引き継ぎ書を書くときの注意点

パスワードは書かない

引き継ぎ書には、パスワードそのものではなく保管場所を書きます。パスワードは社内のパスワード管理ツールなどで受け渡し、前任の方の退職後に変更します。

「いつもの」「例の」を使わない

前任の方にとっては当たり前の言葉でも、後任の方にはわかりません。ファイル名、システムの画面名、取引先の会社名で書きます。

ファイルの場所はリンクで書く

「共有フォルダの受注のところ」ではなく、フォルダのパスやリンクを書きます。

1回で完成させない

引き継ぎ書は、後任の方が実際に業務を回してみて初めて足りない部分がわかります。最初の1か月は、後任の方が気づいたことを書き足していく前提で作ります。

引き継ぎ書はいつまでに、誰が作るか

引き継ぎ書は、退職の申し出があった週のうちに作り始めます。最終出社日の1週間前に一度できあがり、残りの1週間で後任の方と確認する、という順番にすると、確認の時間が残ります。

書くのは前任の方ですが、上司が「どの業務を、誰に、いつまでに引き継ぐか」を先に決めておく必要があります。これが決まっていないと、前任の方は誰に向けて書けばいいかわからず、引き継ぎ書が手順のメモで終わります。部下の退職が決まったときに上司が最初にすることは、部下が退職するのに後任がいないときにまとめています。

後任の方が決まっていないとき

後任の方が決まっていなくても、引き継ぎ書は作ります。読むのが誰になるかわからない分、「いつもの」が通じない前提で、社外の人が読んでもわかる書き方にしておくと、後で誰が受け取っても使えます。後任が決まるまで業務を持つ方(上司や同じ部署の方)を、基本情報の欄に書いておきます。

書き終えたら確かめること

引き継ぎ書ができたら、次の項目を確かめます。1つでも「いいえ」があれば、そこが書き足すところです。

確かめること はい/いいえ
担当している業務が、すべて業務一覧に入っている
業務ごとに、目的と期日が書いてある
判断が要る業務に、判断の基準(数字・条件・確認する相手)が書いてある
年に1回・月に1回の業務が、年間カレンダーに入っている
社外・社内の関係者と、気をつけることが書いてある
使っているシステムとID、パスワードの保管場所が書いてある
進行中の案件に、次に誰が何をするかが書いてある
「いつもの」「例の」など、前任の方にしかわからない言葉がない
ファイルの場所がリンクかパスで書いてある
引き継ぎ書が会社の共有フォルダにあり、後任の方と上司が開ける

引き継ぎ書だけで足りないとき

引き継ぎ書は、業務の全体と判断を伝えるのに向いています。一方で、細かい画面操作を文章で書くのは手間がかかり、読む側もわかりにくくなります。

株式会社taiziiiの調査では、引き継ぎの課題として最も多かったのは「暗黙知が共有されない」(39.5%)でした(出典)。書いたものだけでは伝わらない部分があるということです。

画面操作は録画で残し、判断は引き継ぎ書に書く、というように残し方を分けると、書く手間も読む手間も減ります。録画と、質問に答えるAIを組み合わせる方法は、引き継ぎマニュアルの作り方で紹介しています。退職日まで時間がない場合は、残り2週間でやる順番も参考にしてください。

よくある質問

引き継ぎ書はExcelとWordのどちらで作るのがよいですか? 業務の数が多い場合や、進み具合を管理したい場合はExcel、文章で説明したい場合や印刷して使う場合はWordが向いています。中身の項目は同じで構いません。テンプレートはどちらの形式もあります。

引き継ぎ書は、どのくらいの量を書けばよいですか? 量より、後任の方が前任の方に聞かずに業務を回せるかで考えます。毎日の簡単な業務は1行で足り、判断が要る業務や年に1回の業務は、くわしく書きます。

後任の方が決まる前に書いてもよいですか? 書いてください。誰が読んでもわかるように書いておけば、後任の方が決まったあとにそのまま渡せます。

引き継ぎ書と業務マニュアルは何がちがいますか? 引き継ぎ書は、担当の業務の全体と判断、関係者をまとめたものです。業務マニュアル(手順書)は、1つの業務の手順を順番どおりに書いたものです。引き継ぎ書を目次の役割にして、業務ごとのマニュアルや録画へリンクすると探しやすくなります。マニュアルの作り方は引き継ぎマニュアルの作り方で紹介しています。

引継ぎ代行プラスでできること

引継ぎ代行プラスは、退職する方(または休業に入る方)からオンラインで業務を引き継ぎ、引き継ぎ書にあたる業務一覧と判断の表、マニュアル、動画マニュアル、引継ぎAI(質問に答えるAI)にまとめます。料金は退職する方の月給の50%(1回)です。後任の方が決まるまでの業務も、リモートで代行できます(営業事務・受発注・総務など。経理・給与計算は引き継ぎまで)。相談と簡易診断は無料です(お問い合わせ)。職種ごとのご案内はサービス一覧をご覧ください。

資料ダウンロード 無料で相談する