引き継ぎにAIを使う方法。動画からマニュアルを作り、質問に答えるAIにする
引き継ぎでいちばん時間がかかるのは、前任の方の頭の中にあることを、文章にする作業です。生成AIを使うと、この作業の一部を短くできます。一方で、AIに任せきりにすると、もっともらしいけれど間違ったマニュアルができることもあります。
この記事では、引き継ぎにAIを使う方法を3つに分けて紹介し、AIに任せてよいことと、人が確かめることを整理します。
引き継ぎでAIが役に立つ3つの場面
| 場面 | AIがすること | 人がすること | くわしいやり方 |
|---|---|---|---|
| マニュアルを作る | 画面操作の動画や、話した内容の文字起こしから、手順の下書きを作る | 手順が正しいか、抜けがないかを確かめる | 動画からマニュアルをAIで作る |
| 引き継ぎ書を整える | 箇条書きのメモを、項目ごとの表に整える | 判断の基準を書き足す。数字や条件を確かめる | AIで引き継ぎ書を作る |
| 質問に答える | マニュアルや引き継ぎ書をもとに、後任の方の質問に答える | 答えのもとになる資料を最新に保つ | 社内ナレッジAIの作り方 |
1. 動画からマニュアルの下書きを作る
前任の方が業務をしながら、声で説明して画面を録画します。録画の音声を文字に起こし、AIに渡して手順の形に整えてもらうと、手順書の下書きができます。
- 業務を1つずつ録画する 1本は1つの業務、5〜10分を目安にします。何を、なぜしているかを声に出しながら操作するのがコツです。
- 音声を文字に起こす オンライン会議の録画や文字起こしの機能を使えば、特別な準備はいりません。
- AIに手順の形に整えてもらう 文字起こしを渡し、「番号付きの手順と、注意点、判断が必要な場面に分けて」と頼みます。
- 前任の方が確かめる 下書きを読み、間違いや抜けを直します。AIは、話していないことを書き足したり、手順の順番を入れ替えたりすることがあります。
手順書の書式は、引き継ぎマニュアルのテンプレート(Word)を使うと、AIの下書きをそのまま流し込めます。録画のコツやプロンプト例は、動画からマニュアルをAIで作る方法でくわしく紹介しています。
2. 引き継ぎ書を整える
前任の方がメモ書きで残した業務の一覧を、AIに渡して表に整えてもらう使い方もあります。業務名、頻度、期日、使うツールなど、項目がはっきりしているものはAIが得意です。
一方で、判断の基準はAIには書けません。「値引きは3%まで、それを超えるときは課長に確認」といった判断は、前任の方の経験そのものだからです。AIで整えた表に、判断の基準の欄を残し、前任の方が書き足す形にします。書き方は引き継ぎ書の書き方で紹介しています。
AIに質問させて前任の方から判断の基準を引き出す方法と、そのまま使えるプロンプトは、AIで引き継ぎ書を作る方法と引き継ぎ書を作るAIプロンプト集にまとめています。
3. 質問に答えるAIを用意する
マニュアルや引き継ぎ書、録画の文字起こしをAIに読み込ませておくと、後任の方が「〇〇のときはどうする?」と聞いて、答えを得られるようになります。社内ナレッジのAI、社内の問い合わせに答えるAIと呼ばれることもあります。
| よい点 | 気をつけること |
|---|---|
| 後任の方が、前任の方や上司に聞かずに確かめられる | 資料に書いていないことは答えられない。もっともらしく答えてしまうこともある |
| 何十ページものマニュアルから探す手間が減る | 答えのもとになった資料の箇所を示す設定にして、確かめられるようにする |
| 同じ質問に何度も答える手間が減る | 業務が変わったら、もとの資料を直す |
質問に答えるAIは、資料の質以上の答えは出せません。判断の基準まで書いた引き継ぎ書と、業務ごとの手順書があってこそ役に立ちます。小さく始める手順と、答え方を決めるプロンプトは社内ナレッジAIの作り方で紹介しています。
AIを使うときに気をつけること
- 社外秘の情報の扱い 取引先の情報や個人情報を、社外のAIサービスに入れてよいかは、会社のルールで確かめます。
- 最後は人が確かめる AIの下書きは、前任の方か上司が必ず読み、間違いを直してから後任の方に渡します。
- 判断はAIに決めさせない AIは過去の資料から答えを探すことはできても、新しい判断の責任は持てません。判断は会社の方が行います。
手順書・動画・AIの役割の分け方は、引き継ぎマニュアルの作り方でくわしく紹介しています。業務の引き継ぎ全体の流れは、業務の引き継ぎガイドをご覧ください。
引継ぎ代行プラスでできること
引継ぎ代行プラスは、退職する方(または休業に入る方)からオンラインで業務を引き継ぎ、マニュアル、動画マニュアル、引継ぎAI(マニュアルと動画をもとに質問に答えるAI)を作ります。引継ぎAIの答えには、もとになったマニュアルの箇所を示します(引継ぎAIについて)。料金は退職する方の月給の50%(1回)です。相談と簡易診断は無料です(お問い合わせ)。