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後任・採用

部下が退職するのに後任がいない。上司が最初の1週間で決めること

部下の方から退職の申し出を受けた。けれど、その業務を引き継げる人が社内にいない。従業員が数十名の会社では、めずらしいことではありません。1人で担当している業務が多いほど、後任はすぐには決まりません。

申し出を受けた直後は、「とりあえず隣の席の人に」と決めてしまいがちです。ただ、最初の数日で決めたことは、そのまま数か月続くことがよくあります。あとから直すのは大変です。

この記事では、退職の申し出を受けてから最初の1週間で、上司が決めておくことを日ごとに整理しました。管理職の方が退職する場合の補足も、後半に付けています。

最初の1週間で決めること

日 決めること 一緒に決める相手
1日目 退職日、最終出社日、有給休暇の残りを確かめ、一緒に引き継ぎができる日数を出す 退職する方
2日目 業務をすべて書き出し、「止められない/遅らせられる/やめられる」に分ける 退職する方
3日目 後任が決まるまで、業務ごとに誰が持つかを決める 残ったメンバー
4日目 後任を採用するか、社内で異動するか、外部に任せるかの方針を決める 社長・役員
5日目 社内、取引先、顧問の税理士・社労士に、いつ、誰が、何を伝えるかを決める 退職する方

1日に1つずつ進める必要はありません。順番さえ守れば、2〜3日で終わる会社もあります。大事なのは、3日目の「誰が持つか」を、1日目と2日目の材料がそろう前に決めないことです。

1日目:退職日と有給休暇から「一緒に引き継げる日数」を出す

最初に、早めに話してくれたことへのお礼を伝えます。引き継ぎは、退職する方の協力があって進むものです。退職の理由を細かく聞き出す必要はありません。

そのうえで、次の3つを確かめます。

  • 退職日 会社に籍がある最後の日
  • 最終出社日 実際に出社して仕事をする最後の日
  • 有給休暇の残りの日数 最終出社日から退職日までの間に取る日数

有給休暇は、フルタイムで働く方の場合、継続勤務6年6か月以上で1年に20日が付与されます(出勤率などの条件があります)。使わなかった分も、付与された日から2年間は使えます(厚生労働省「年次有給休暇」)。長く勤めた方ほど、残りの日数は多くなります。

たとえば、10月1日に申し出があり、退職日が11月30日、有給休暇の残りが20日だとします。11月の出勤日がおよそ20日なら、最終出社日は10月末です。退職日まで2か月あっても、一緒に引き継ぎができるのは約1か月です。その間も通常の業務があるので、引き継ぎだけに使える時間はさらに短くなります。

日数がわかったら、引き継ぎのミーティングの時間を、先にカレンダーで押さえておきます。有給休暇の取り方や退職日の扱いで迷うことがあれば、顧問の社労士にご確認ください。

2日目:業務を書き出し、「止められない/遅らせられる/やめられる」に分ける

次に、退職する方と一緒に、担当している業務をすべて書き出します。ご本人の記憶だけでは抜けが出るので、カレンダーの予定、送信済みメール、共有フォルダの更新履歴を見ながら進めます。一覧に入れる項目は、後任が決まらないまま退職日が来るときの記事で紹介しています。

書き出した業務は、次の3つに分けます。

分け方 例 後任が決まるまでの扱い
止められない 支払の準備、請求書の発行、給与計算に使う勤怠の集計、取引先からの注文の受付 誰が持つかを必ず決める
遅らせられる 資料の整理、月1回の社内向けの集計、備品の見直し 期限を決めて、後任が決まってから
やめられる 誰も見ていない集計表、ほかの表と同じ内容を管理している表 使っている人に確かめてから、やめる

年に1回しかない業務(年末調整、決算の準備、保険や契約の更新など)は、ふだんの一覧から漏れやすいので、時期と一緒に書き足しておきます。

もう1つ、業務ごとに「手順どおりの作業か、判断が要るか」の印も付けておきます。3日目に、誰に何を任せるかを決めるときに使います。

3日目:後任が決まるまで、業務ごとに誰が持つかを決める

よくあるのは、同じ部署の1人に、退職する方の業務をまとめて持ってもらう形です。すぐに決められますが、長く続くと次のようなことが起きやすくなります。

  • 自分の仕事に上乗せされるので、残業が増える。時間外労働には、原則として月45時間・年360時間の上限があります(厚生労働省「時間外労働の上限規制」)
  • 慣れない業務で、確認の漏れやミスが出る
  • 後任の方が入ると、今度は仕事を説明する側に回る
  • 負担が長く続くと、その方自身の退職につながることもある

そこで、人ではなく業務ごとに持つ人を決めます。止められない業務のうち、手順どおりの作業は社内の方か外部に、判断が要るものは上司が持つ、という分け方が基本です。

仮に担当してもらう方には、次のことを決めて伝えます。

決めること 内容
期間 「後任が決まるまで」ではなく、「12月末まで」のように日付で伝える
範囲 手順どおりの作業だけにし、判断が要るものは上司が持つ
時間 月に何時間ぐらい増えるかを見積もり、その分ほかの仕事を減らす
報い方 手当、評価、担当している業務の入れ替えなど
相談先 迷ったときに誰に聞くか、どの資料を見るか

後任が見つかるまでの回し方には、仮の担当のほかにも、派遣、時間制のオンラインアシスタント、業務ごとの代行などがあります。費用の比べ方は後任が見つかるまでの業務をどう回すかで紹介しています。

4日目:後任を「採用」「社内異動」「外部」のどれで埋めるか決める

次に、後任をどうするかの方針を決めます。ここで決めきる必要はありません。「まず何から動くか」が決まれば十分です。

方針 向いているとき 気をつけること
外から採用する 業務量が多く、1人分の仕事がこの先も続く 求人から入社までの間をどう回すかを、別に決める
社内で異動・昇格する 社内の事情や取引先を知っている方がいる 異動する方の元の業務を誰が持つか
外部に任せる 手順のはっきりした業務が多い。採用まで時間がかかりそう 派遣と業務委託は、仕事の指示の出し方がちがう(派遣・外注とのちがい)
業務を減らしてから考える 定型の作業が多く、仕組みに置き換えられそう 判断や現地の作業は人に残る

このとき、前任の方と同じ経験を持つ人を探すかどうかも考えます。同じ条件で探すと、見つかるまでに時間がかかりがちです。入力や集計のような作業を仕組みに置き換えれば、後任の方に求める経験を下げられることがあります。考え方は採用の前に「業務を減らす」という選択肢にまとめています。

5日目:関係者に「いつ、誰が、何を」伝えるかを決める

退職のことを誰にいつ伝えるかは、退職する方と相談して決めます。ご本人が話す前に上司が周りに広めてしまうと、信頼を損ねかねません。

相手 伝えること 時期の目安
残ったメンバー 退職日、業務の持ち方、仮の担当の期間 3日目の分担が決まったら
取引先 担当が替わること、新しい窓口と連絡先 退職する方の在職中に、できれば一緒に
顧問の税理士・社労士 退職日、社内の担当の変更、資料の受け渡し先 退職日が決まったら早めに
社内のほかの部署 問い合わせ先の変更 最終出社日の前に

退職にともなう社会保険と雇用保険の手続きには、提出の期限があります。健康保険・厚生年金保険の資格喪失届は「事実発生から5日以内」(日本年金機構)、雇用保険の資格喪失届は「被保険者でなくなった日の翌日から起算して10日以内」(東京ハローワーク(ハローワーク飯田橋))です。手続きの進め方は、顧問の社労士にご確認ください。

あわせて、退職する方のメールやチャットのアカウントに届く連絡を、退職後に誰が受けるかも決めておきます。共有のアドレスに切り替えるなら、取引先への連絡と同じときに案内できます。

2週目からは、引き継ぎの中身に入る

1週間で方針が決まったら、2週目からは引き継ぎの中身に入ります。手順は画面を見ればある程度わかりますが、「こういうときはこうする」という判断の基準は、退職する方がいなくなると誰にもわからなくなります。先に聞いておきたいのは、判断の基準と、年に1回しかない業務です。

画面の操作は、ミーティングで実際に操作してもらいながら録画すると、抜けが少なくなります。録画してよいかは、事前に退職する方に確認します。残し方は引き継ぎマニュアルを動画とAIで残す方法で紹介しています。

管理職の方が退職するときは、判断と承認の持ち主を先に決める

退職するのが課長やリーダーなど管理職の方の場合は、作業よりも先に、判断と承認を誰が持つかを決めます。後任の管理職は、社内でも外からでも、すぐには決まらないことが多いからです。

  • 承認・決裁 経費や発注、勤怠の承認を、誰が代わりに行うか。ワークフローのシステムを使っているなら、承認者の設定も変える
  • メンバーの相談先 日々の相談、面談、評価を誰が受け持つか
  • 社外の関係 担当している取引先への挨拶に、在職中に誰と行くか
  • 進行中の案件 期限と、次の打ち合わせの日を一覧にする

作業は社内のほかの方や外部に任せられても、判断と承認は社内に残ります。しばらくは、1つ上の役職の方が持つのが現実的です。

1週間で決めたことを、1枚にまとめておく

最後に、1週間で決めたことを1枚にまとめ、退職する方、仮の担当の方、上司で共有しておきます。

  • 退職日、最終出社日、引き継ぎに使える日数
  • 業務の一覧と、「止められない/遅らせられる/やめられる」の仕分け
  • 業務ごとの仮の担当と、その期間
  • 後任の方針(採用・社内異動・外部)と、次に動く日
  • 関係者に伝える順番と、伝える人

この1枚があれば、後任が決まったときも、外部に任せることになったときも、同じところから話を始められます。

引継ぎ代行プラスでできること

引継ぎ代行プラスは、退職する方からオンラインで業務を引き継ぎ、マニュアル・動画マニュアル・引継ぎAI(質問に答えるAI)にまとめます(月給の50%、1回)。後任が決まるまでの業務もリモートでお引き受けし(月給の60〜80%/月、最低2か月)、後任の方が慣れるまで最長1か月、業務代行の中で引き継ぎます。派遣ではなく業務委託なので、ご依頼は窓口の方からお受けします。郵便・来客・現金などの現地の作業、支払いの実行、契約や価格の判断はお引き受けしていません。引き受ける業務はサービスの一覧に載せています。相談と簡易診断は無料で(お問い合わせ)、モニター企業も先着5社募集しています。

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