このテンプレートは、引き継ぎを受ける側として実際に使っている項目をもとにつくりました。一般的な引き継ぎ書のテンプレートは、業務名と手順を書く欄が中心です。実際の引き継ぎで後から困るのは、手順よりも「判断の基準」「年に1回しか来ない業務」「誰に連絡すればいいか」のほうです。そこを書く欄を分けています。
テンプレートに入っている6つの項目
Excel版はシートごと、Word版は見出しごとに分かれています。中身は同じです。
| 項目 | 書くこと | 抜けると起きること |
|---|---|---|
| 基本情報 | 誰から誰へ、いつまでに引き継ぐか。後任が未定なら、決まるまで持つ方 | 引き継ぎの期限があいまいになり、最終出社日に間に合わない |
| 業務一覧 | 業務名、目的、頻度、期日、使うツールとファイルの場所、手順書の有無 | 書き出していない業務が、退職後に見つかる |
| 判断の基準 | 「こういうときはこうする」という決まりと、例外の扱い | 後任の方が毎回、上司や前任の方に聞くことになる |
| 年間カレンダー | 年1回・月1回の業務と、その月 | 決算、棚卸し、年末の案内など、退職後に初めて来る業務を落とす |
| 関係者・アカウント | やりとりする相手と注意点。使っているシステムのIDと、パスワードの保管場所 | 取引先への連絡が止まる。ログインできないシステムが残る |
| 進行中の案件 | やりかけのこと、今の状態、次に誰が何をするか | 返事待ちの案件が、そのまま放置される |
判断の基準は、業務一覧の中に欄を設けています。業務と判断を別の表にすると、どの業務の話かを後任の方が探すことになるためです。
記入例(営業事務の場合)
テンプレートには、営業事務の記入例を2行入れています。書き方がわかったら、消すか上書きしてください。
| 業務名 | 判断の基準 | よくあるミス・注意点 |
|---|---|---|
| 受注の入力 | 単価が登録と違う注文は入力せず、営業担当に確認する。急ぎの注文は15時以降も受けてよい(課長に一言伝える) | 同じ注文がFAXとメールで二重に届くことがある。注文番号で重複を確認する |
| 見積書の作成 | 値引きは年間100万円以上の取引先で3%まで。それを超えるときは課長の承認をとる | 単価表は毎年4月に改定される。古い版を使わない |
「判断の基準」には、数字と、その数字を超えたときに誰に確認するかを書くのがコツです。「状況に応じて対応」と書くと、後任の方はその状況を判断できません。
使い方
- 基本情報を書く 引き継ぐ相手と期間を決めます。後任が決まっていなければ「未定」と書き、決まるまで業務を持つ方を書きます。
- 業務をすべて書き出す 退職・休業する方と一緒に書きます。カレンダー、送信済みのメール、共有フォルダの更新履歴を3か月分見ると、書き漏れが減ります。
- 判断の基準と注意点を書く 業務ごとに、手順書に書きにくい判断を残します。ここは前任の方にしか書けない部分なので、最終出社日の1週間前までに終わらせます。
- 年間カレンダー・関係者・アカウントを埋める 年に1回の業務は、前任の方も忘れていることがあります。昨年のカレンダーやメールを見返しながら書きます。
- 後任の方と1つずつ確認する Excel版の「引き継ぎ」の欄を「未・途中・済」で管理できます。全部が「済」になったら完了です。
業務の数が多くて書き出しから迷うときは、先に業務の棚卸しから始める方法もあります。棚卸しシートは無料の3点セットに入っています。
職種ごとに足すとよい項目
テンプレートは職種を問わず使える形にしています。職種によっては、次の項目を業務一覧に足すと漏れが減ります。
| 職種 | 足すとよい項目 |
|---|---|
| 経理 | 月次・年次の締めの日程、税理士事務所とのやりとり、支払いの承認の流れ、使っている会計ソフトの設定 |
| 総務・人事 | 入退社の手続きの流れ、備品・契約書の台帳の場所、社労士事務所とのやりとり |
| 営業事務・受発注 | 取引先ごとの締め日・書類の形式・単価のルール、急ぎの注文の扱い |
| 広報・EC・Web | 広告やECのアカウント、更新の頻度、外部の代理店や制作会社とのやりとり |
経理や給与計算は、期限とお金に関わる業務が多く、引き継ぎの漏れがそのまま支払いや申告の遅れにつながります。職種ごとの進め方は、一人経理が辞めると決まったら、営業事務・受発注の引継ぎでくわしく書いています。
書く時間がないときは
退職が決まってから最終出社日までは、ふだんの業務と引き継ぎが重なります。引き継ぎ書を書く時間がとれない、書いても伝わるか不安、というときは、退職する方から私たちが直接引き継ぎ、マニュアル・動画マニュアル・引継ぎAIにまとめる方法もあります。後任の方が決まるまでの業務も、リモートで代行できます。くわしくは引継ぎ代行とはをご覧ください。
よくあるご質問
本当に無料ですか?登録は必要ですか?
無料です。メールアドレスの登録もいりません。ボタンを押すと、そのままファイルがダウンロードされます。社内で配ったり、項目を変えて使ったりしていただいて構いません。
ExcelとWordはどちらを使えばいいですか?
業務の数が多い場合や、引き継ぎの進み具合を管理したい場合はExcel版が向いています。印刷して手元で見ながら説明したい場合や、文章で書きたい場合はWord版が向いています。中身の項目は同じです。
Googleスプレッドシートで使えますか?
使えます。Excel版をGoogleドライブにアップロードし、Googleスプレッドシートで開いてください。色や表の形はそのまま残ります。
引き継ぎ書と引き継ぎ資料は、何がちがいますか?
引き継ぎ書は、業務の一覧と判断の基準をまとめた1つの文書です。引き継ぎ資料は、引き継ぎ書に加えて、手順書(マニュアル)、画面操作の録画、取引先の一覧などをまとめた一式を指すことが多いです。どこまで用意するかは、引き継ぎ資料の作り方で書いています。
パスワードも書いてよいですか?
引き継ぎ書には、パスワードそのものは書かないでください。テンプレートでは、パスワードの保管場所だけを書く欄にしています。パスワードは、社内のパスワード管理ツールなどで受け渡し、退職後に変更します。

